2006年12月11日 (月)

労務管理の必要性

企業は利益を追求していかなければなりませんが、この目的を達成するためには、商品開発や販売活動、仕入活動、生産活動、流通活動、経費削減活動などさまざまな活動を展開していかなければなりません。これらの活動の基となるものが「ヒト」です。経営者は、経営理念を実現するため、従業員「ヒト」をどのように管理すれば、自分の理想とする行動をとり、実行するようになるかについて考える必要が出てきます。これが労務管理の必要性です。つまり労務管理は「企業で働く従業員を満足させ、やる気を起こさせ、経営者の思いや経営理念を実現するため、採用から退職までのヒトに関するすべての事項を計画し実行し統制するマネジメント」です。なお、今日のような激しい経営環境の変化に対応した適切な労務管理を進めることが他社との差別化にとって一層求められています。

今回で「労務管理基礎講座」は終了させて頂きます。次回からはQ&A労基法をリリースしますのでよろしくお願いいたします。

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2006年12月 7日 (木)

ホワイトカラー・エグゼンプション

ホワイトカラー・エグゼンプションとは、「自律的労働時間制度」と呼ばれるもので、日本経団連が「労働契約法制に対する使用者側の基本的な考え方」に盛り込まれたもので、現行の管理監督者のほかに、管理監督者のもとで一定の要件を充たす労働者を労働基準法で定める1日8時間、週40時間の労働時間規制を適用しないという制度です。平成16627日の「労働契約法制及び労働時間法制のあり方についての素案」では、産業構造が変化し就業形態・就業意識の多様化が進む中、高付加価値の仕事を通じたより一層の自己実現や能力発揮を望み、自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者について、一層の能力発揮をできるようにするための観点から導入を検討されているとのことです。

確かにホワイトカーの高度化された職務を時間尺度だけで評価して管理することは、自由度を抑制し能力を充分に発揮されない面は認めなくてはならないと思います。しかしながら、大企業は別として中小企業のホワイトカラーでは、成果主義に基づく競争至上主義やリストラによる労働密度の強化などにより恒常的な残業をしている現況において、このホワイトカラー・エグゼンプション制度が導入されると長時間労働の招き過労死や過労自殺、職場における精神障害の増加に繋がることになります。労働運動総合研究所の試算によるとホワイトカラー・エグゼンプションを年収400万円以上のホワイトカラー労働者に適用すると、総額116000億円、ホワイトカラー労働者1人当たり年114万円もの残業代が消えるとされています。さらに、働き過ぎて過労死をしても会社に使用者責任を問うこともできなくなるとされています。

 私見ですが、使用者側が考えている自律した働き方については、裁量労働制などで既に実施しているもので、なぜ、いまホワイトカラーそれも年収400万円に拡大し時間外の適用免除を狙うのか分からないところがあります。また、大企業では自由度が拡大し自己実現できる仕事に就くことができますが、中小企業ではホワイトカラーでも職務分析すらできていない企業が多く、単に時間管理をしない対象者を増やし、残業代等の不払いを合法化するものであると思います。

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2006年12月 5日 (火)

懲戒解雇

懲戒解雇とは、従業員の故意や重大な過失によって損害を被った場合など、従業員に問題があるという理由で解雇すること。懲戒処分の一種で最も重いものとされています。紹介解雇をするためにも要件があります。労基法では「懲戒解雇をするのであれば、就業規則にその理由を載せなければならない」と規定しています。それでは懲戒解雇が有効にするためには、まず前提条件として①就業規則に懲戒理由が載っていること。②懲戒理由に当たる事実があること。が必要です。この事実関係に基づいて次の5つの判断基準に照らして有効であるか否かの判断されますのでご注意願います。

①規定の内容が世間と比べて重すぎないか?

 「無断欠勤3日で懲戒解雇する」と就業規則に記載されていても、世間的に言っても重すぎるのでは

②平等な取扱いであるか否か?

 他の従業員が同じ違反で処分された事例と内容が同じか

③解雇するほどのことであるか否か?

 今回の行為が会社を辞めさせるほどのことである必要がある。

④就業規則に定められた手続きを経ているか否か?

 解雇予告はもちろん、就業規則に「懲戒委員会で協議する」などと記載されている場合は、その手続きを経ている必要がある。

⑤同じ理由で2度懲戒処分していないか?

 過去にすでに減給されたのに、もう一度懲戒解雇することはできない。

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2006年12月 4日 (月)

整理解雇の4要件

事業縮小などの経営上の理由によって解雇することを整理解雇といいます。この整理解雇を有効とするためには、原則として以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

1.経営上の必要性

 倒産寸前に追い込まれているなど、整理解雇をしなければならないほどの経営 

上の必要性が客観的に認められること。

2.解雇回避の努力

  配置転換、出向、希望退職の募集、賃金の引下げその他整理解雇を回避するために、会社が最大限の努力を尽くしたこと。

3.人選の合理性

  勤続年数や年齢など解雇の対象者を選定する基準が合理的で、かつ、基準に沿った運用が行われていること。

4.労使間での協議

  整理解雇の必要性やその時期、方法、規模、人選の基準などについて、労働者側と十分に協議をし、納得を得るための努力を尽くしていること。

それでは、具体的に整理解雇(リストラ)をするためには、下記のような手順が必要になります。

①労働時間の短縮、新規採用の停止、昇給停止、業績賞与への変更などコスト削減の努力を行う。

②労働条件の変更、役員報酬のカット、役職者の給与カットなど上層部の賃金カットから賃金ダウンを行う。誠意を持って説明し同意を得ることが大切。

③ ①、②施策でも苦しい時は、希望退職の募集を行う。退職金の上乗せになど労働者に有利な条件とする。誠意をもって説明する

④希望退職の募集でも間に合わない場合、整理解雇対象者を選定し、整理解雇の時期、方法、規模、人選の基準など誠意をもって説明し納得を得て解雇します。なお、再就職斡旋など退職後の配慮も必要となります。

以上、そう簡単には整理解雇はできないと考えてください。会社には最後まで従業員の雇用を守る責任があるのです。

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2006年12月 2日 (土)

解雇の禁止

解雇の禁止を規定している法律には、労働基準法及び男女雇用機会均等法などがあります。整理すると下記の通りです。参考にしてください。

1.業務上負傷、疾病し休業している期間中及び復職後30日間、産前産後休業中及び復職後30日の間の解雇(労基法19条)

2.監督機関への申告を理由とする解雇(労基法1042項、安衛法972項)

3.国籍、性別、信条、社会的身分を理由とする解雇(労基法3条)

4.不当労働行為となる解雇(労組法7条)

5.女性であることを理由とする解雇(男女雇用機会均等法8条1項)

6.結婚、妊娠、出産、産前産後休業等の取得・請求、妊娠・出産に起因する機能低下・労働不能を理由とする解雇(改正均等法83項)

7.育児・介護休業の申出、取得を理由とする解雇(育児・介護休業法10条、16 

 条)

8.個別労働紛争解決促進法に基づく労働局長に対する助言・指導の援助を求めたこと、紛争調整委員会にあっせんを申請したことを理由とする解雇(個別紛争解決促進法43項、52項)

9.労使協定の過半数代表者の代表になること、なろうとしたこと、正当な活動をしたことを理由とかる解雇(労基法施行規則6条の23項)

10.企画業務型裁量労働制の労使委員会の労働者委員になること、なろうとしたこと、正当な活動をしたことを理由とする解雇(労基法施行規則24条の24第6項)

  企画業務型裁量労働制の対象業務に就けることについて同意しないことを理由とする解雇(労基法38条の4第1項6号)

11.労働者派遣の一般派遣業務の派遣可能期間決定の際の意見聴取等の労働者の過半数代表になること、なろうとしたこと、正当な活動をしたことを理由とする解雇(派遣法施行規則33条の4第3項)

12.公益通報を理由とする解雇(公益通報者保護法3条)

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2006年12月 1日 (金)

解雇予告

解雇とは、社員の意思とは関係なく、会社が労働関係を終了するものです。労働基準法第20条では「労働者を解雇しようとする場合は、少なくても30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と規定しています。解雇するためには、30日前の予告が必要とし、予告が難しければ、平均賃金の30日分の解雇予告手当を払う必要があります。また30日に満たない予告をした場合は、その予告期間に不足する日数分の解雇予告手当を支払いことになります。ただし、次の従業員は解雇予告がいりません。

①日々雇い入れられる者(1か月以内)

②2か月以内の期間を定めて使用される者(契約期間以内)

③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(契約期間以内)

④試の試用期間中の者(14日以内)

しかしながら、この期間を超えてそのまま働いている場合は解雇予告が必要となりますので注意してください。

なお、次の場合は解雇予告などが除外することができます。

①火災や地震などの天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となり、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたとき。

②労働者の責に帰すべき事由(横領・傷害・2週間以上の無断欠勤等)によって解雇するときで、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたとき。この除外認定は、解雇の意思表示をなす前に受けるのが原則です。

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2006年11月29日 (水)

解雇のルール

 中小企業では、30日前に予告さえすれば会社が一方的な都合で解雇できると考えている使用者が数多くいます。しかしながら、労働基準法第18条2項では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとみとめられない場合は、権利の濫用したものとして無効となる。」と規定しています。一般に「解雇権濫用法理」と呼ばれ、昭和50年の最高裁判決以降裁判実務上で確立されていたもので、平成15年の労基法改正により法文上に明記されました。それではどうしたら問題なく正当な解雇ができるかのポイントを整理しておきましよう。

ポイント1就業規則に根拠が載っている。(会社は解雇の理由を就業規則に定めておく)

ポイント230日以上前に予告している。または解雇予告手当を支払っている。

ポイント3出産や育児休業を理由とするなど法律で禁じられた解雇ではないこと。

ポイント4解雇されるのは仕方ないと誰もが納得できるような理由がある。

裁判では、会社側が解雇権濫用ではない(会社の勝手な都合ではない)ということを証明する必要があります。

 当事務所では、すぐに「クビだ」という事業主に対しては、「一方的な解雇はやめてください。うまく話し合って自己都合が退職勧奨にする努力をしてください」とアドバイスしています。

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2006年11月28日 (火)

退職証明書・解雇理由証明書

労働基準法第22条第1項では、労働者が退職の場合に、在職中の仕事の内容などについて証明書の交付を請求したときは、使用者は遅滞なく、これを交付しなければなりません。証明内容は下記のとおりです。

①使用期間

②業務の種類

③当該事業における地位

④賃金

⑤退職の理由(退職の事由が解雇の場合にあってはその理由を含む)

なお、このうち労働者が請求した事項だけ証明すればよい。また、労働者の請求しない事項を記入してはいけません。

222項では、解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、労働者が当該解雇の理由について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なく、解雇理由証明書を交付しなければならないと規定しています。この証明書は、一度発行した解雇理由は、後で変更することも追加することもできません。退職時の証明書(退職証明書)及び解雇理由証明書は後に重要な証拠となりますので慎重に記載しなければなりません。当事務所では退職証明書及び解雇理由証明書の雛形をワードで作成しております。ご要望がある方はメールにて問い合わせ願います。

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2006年11月27日 (月)

経営戦略と人材育成

 経営戦略を実施に移し、会社の業績向上を図っていくためには、効率的な「組織」戦略と「人材」戦略が不可欠であるといわれています。しかしながら、中小企業では、経営戦略面では「戦略や計画が出来上がって終わり(絵に描いたモチ)」であったり、組織面では、「戦略に関わりなく何となく・思いつき的に、あるいは人事異動の延長上に組織変更があるような“人ベースでいじる“」的であったりしています。また、人材面では、単なる処遇の人事制度であったり、「最終的に数値(売上げ等)を上げていれば、あとは何も言わない!」といった結果至上主義的マネジメントが行われたりしています。「人材育成が大切だ!」「やったらやっただけの評価をしていないと・・・」と矛盾したものとなっています。

 経営戦略があって、初めて組織ができ、期待される組織行動を行う人材像ができる。その人材像に近づけることが人材育成であると思います。つまり経営戦略に基づいた人材育成であり人事評価であるべきであります。今日のように企業環境が急激な変化する中では、自分の企業が経営戦略に基づいて組織され人材マネジメントされているかを再度検討してみる必要があるのではありませんか。

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2006年11月20日 (月)

人事評価(人事考課)とは

人事評価(人事考課)とは、従業員の今後の処遇や教育の参考とするために、仕事内容や結果、職務遂行能力や仕事への意欲などを把握することを目的として行う評価制度です。

「やってもやらなくても、処遇は変わらない」のであれば、従業員のモチベーションは上がらず、能力開発やサービスの向上には取り組まない事態になります。このような事態にならないよう、会社は全従業員が理解できるような、クリアで公平な評価を随時行っていかなわれなければならない。一般的に評価の基準は「絶対的評価」と「相対的評価」をあわせて利用していくのが理想です。また、人事評価の結果は面接等を通じ、各従業員にフィードバックすることが重要です。当事務所では人事制度の再構築の支援項目で人事評価システムの見直しを行っています。人事制度の再構築をお考えの企業は是非ご一報願います。

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2006年11月18日 (土)

不当労働行為

労働組合法では、会社(使用者)が行ってはならない行為として6種類の不当労働行為を規定しています。(組合法7条)

①不利益取扱い

②黄犬契約:社員が労働組合に加入しないこと、あるいは労働組合を脱退することを雇用条件とする契約のこと。

③団体交渉拒否

④支配介入

⑤経費援助:労働組合の運営のために会社が経費を援助することをいう。ただし、勤務時間中に有給で使用者と協議ないし交渉をすること、組合の福利厚生基金へ寄付をすること、最小限の広さの事務所を供与することは経費援助ではないとされています。

⑥報復的不利益取扱い:労働者が労働委員会への申出等をしたことを理由として解雇など不利益な取扱いをすることを意味します。

会社が不当労働行為を行った場合は、組合や組合員は都道府県労働委員会に対し、救済命令の申立を行うことができます。

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2006年11月15日 (水)

日本の労働組合

日本での労働組合の組織率は、年々低下傾向にあり、昨年では18.7%と2割を割り込んでいます。この原因は、正社員の減少や非正規社員層の増加等、雇用形態の多様化・個別化により、団体としての包括的な労働条件では対処できなくなったためであると考えられています。欧米では、同じ産業に従事する労働者が直接加入する「産業別組合」が中心ですが、日本では、同一企業の労働者が職種の別なく組織する「企業別組合」が中心で、組織労働者の9割がこの組織形態のもとにあるといわれています。日本でも、企業の枠を超えて、地域ごとや雇用形態ごとあるいは産業ごとに、労働者が組織できる組合が多数できることが望まれています。

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2006年11月14日 (火)

過労死

過労死とは、長時間の労働などにより身体が疲弊し、脳や心臓等に疾病が発症し、脳卒中や心筋梗塞などで死亡することですが、ストレス蓄積が原因となった過労自殺も過労死と認定を受けるケースも増えてきています。つい数年前までは、なかなか労災認定はされなかったのですが、平成13年に「脳血管疾病及び虚血性心疾患等の認定基準」が改定され、労災認定件数が飛躍的に増加しました。

具体的な認定基準、労働時間と脳・心臓疾患発症の因果関係は、3段階に区分され、業務と発症の関連性が最も強い層として「時間外労働時間が月100時間を超える場合または発症前2~6か月間に1か月当たり80時間を超える場合」。時間外労働が長くなるほど業務と発症との関連性が強まる層として「発症前1~6か月間に1か月当たり45時間を超える場合」。業務と発症の関連性が弱い層として「発症前1~6か月間に1か月当たり45時間以内の場合」とされています。

 この労災の認定を受けても慰謝料や損害賠償の請求に対しては責任を免れるものではありません。長時間労働が常態にならないよう、時間外労働の削減や健康管理に力点を入れる他、人材の補充等をも検討し、過労死が起きないようにすることが肝要です。

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2006年11月13日 (月)

賃金とは

労働基準法11条では「賃金とは、名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」としています。賃金が「労働の対償」であるとは、使用者が労働者固有の時間を具体的、現実的に支配したことに対する代価を意味します。もっとも日本では、使用者は任意的、恩恵的、福利厚生的意味の給付および実質弁償的な給付など多様な趣旨、形態のお金が支払われています。これらの給付と賃金を区別する基準は、就業規則などであらかじめ支給条件が明確に定められていることです。たとえば、結婚祝金、病気見舞金、近親者死亡の弔慰金は「任意的恩恵的給付」であり、これらは賃金とはいえません。しかし、就業規則などであらかじめ支給条件が明確にされていれば、賃金として取り扱われます。また、賞与や退職金も、支給の有無や支給額が会社の裁量によってそのときどきで決まるものであれば「任意的恩恵的給付」となり、賃金とはいえません。ただし、就業規則で支給条件が明確にされていればこれも賃金となります。

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2006年11月 9日 (木)

就業規則の不利益変更

労働条件の多くは就業規則で定められています。就業規則の作成や変更の権限は会社にあります。会社が一旦定めた就業規則を従業員に不利益に変更することができるかが「就業規則の不利益変更」の問題です。合理性があれば許されるとされていますが、判例では、「合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって従業員の被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性と内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の従業員の対応、同種事項に関する社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」としています。実際に裁判になった場合、裁判所がどう判断するするかの予測は容易ではありません。

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2006年11月 2日 (木)

ポイント制退職金制度

団塊世代の大量退職に伴う、退職金原資の不足などの退職金問題が発生すると言われています。また、平成24年からは適格企業年金の廃止が決まっています。このように企業をとりまく退職金に関する環境が変化している中、企業は退職金制度を見直さなければならなく、この見直しの選択肢として注目を集めているのが、ポイント制退職金制度です。

従来、退職時の基本給を基礎とし、これに勤務年数に応じた一定の係数を乗じ、さらに退職理由(自己都合か会社都合か)で異なる支給率を乗じて計算する方式が一般的でした。ポイント制退職金制度は、退職金を基本給から切り離し、年齢、勤続年数、役職、資格等級、人事考課などでポイント単価(1ポイント1万円など)を乗じて退職金を計算する精度です。

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2006年11月 1日 (水)

人事異動

人事異動は大きく分けて3つあります。自社内の異動か、または自社外への異動かにより「配転」「出向」「転籍」とに区別されます。「配転」は法律的には社員が従事している業務内容や勤務場所を長期間にわたって変更する人事異動をいいます。ジョブローテーションで職種や職務内容の変更を含むものや転居を伴う転勤も含みます。「出向」は社員が出向元との間に結ぶ雇用契約に基づき、社員である身分を確保しながら出向先の指揮監督の下に労務を提供する人事異動です。子会社や関連会社への出向など大手の企業では雇用調整として盛んに行われています。「転籍」はそれまで働いていた会社との雇用契約を終了させて、新たに転籍先との雇用関係を結ぶ人事異動です。「転籍」は新たに労働条件が変更されますので、当然本人の同意が必要となります。

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2006年10月30日 (月)

育児・介護休業

育児介護休業法の目的は、育児または家族介護を行う労働者について、休業制度その他の支援措置により雇用継続・再就職等を促進し、仕事と家庭の両立を図るところにあります。育児・介護休業は就業規則の絶対記載事項である「休暇」に該当しますので、必ず就業規則化しなければなりません。このため、育児・介護休業の具体的内容の周知、取得手続、休業中・休業後の労働条件など全般にわたり、あらかじめ就業規則で取扱いを決めることになります。育児休業の要件は、原則として1歳に満たない子を養育するために、労働者が事業主に申し出ることにより休業することができます。介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するために、労働者が事業主に申し出ることにより休業することができるものです。なお、育児介護休業法は、女性労働者のみでなく男性労働者にも適用があり、男女を問わず休業等の申出・請求を行うことができます。

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2006年10月27日 (金)

みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、実労働時間の長短にかかわらず、一定の時間労働したものと取り扱うことを法的に認める制度のことです。労働基準法は、事業場外労働と裁量労働について、このみなし労働時間制を認めています。裁量労働については既にブログで紹介しておりますので、割愛させていただきます。

 会社の外で働く営業マンのようなケースでは、労働時間を正確に把握することが難しいため、労働基準法では、実際の労働時間にかかわらず、決めた時間を労働したとみなすことを認めています。これを事業場外のみなし労働時間制といいます。現実の労働時間が何時間であったかは関係ありません。その業務をするために必要とされている時間を働いたとみなすのです。

 みなし労働時間制の要件は次の通りです。

①労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事していること

②労働時間を算定し難いこと

ただし、次の場合は労働時間の算定ができるものとしています。

①形態電話で随時上司の指示を受けながら働く

②会社かせ訪問先や帰社時刻などの具体的な指示を受け、指示どおりに働き、その後帰社する

③グループ行動でリーダーが管理できる

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2006年10月26日 (木)

採用基準の明確化

新規学卒者や中途採用者を選考するとき、会社として欲しい人物像を明確にしておくことが大切です。「○○大学だからいいか」、「根性がありそうなので採用してみるか」、「中途採用者では出来るか出来ないか試しに雇ってみるか」、など明確な基準もなく採用していませんか?「能力」「経験」「労働条件」など「絶対条件」と「追加条件」を事前に整理しておき、絶対条件にあわない人は、どんなに他の能力が高く優れていても採用しないようにすることが、ミスマッチをなくすコツです。

 簡単に、一般的な採用までのフローを紹介します。

①採用準備:欲しい人物像を明確にする(採用基準の明確化)、労働条件・待遇を決定する。

②求人募集をする:求人誌への広告方法の検討、募集案内等により会社の魅力をアピールする

③書類選考する:求める人物像かどうかをチェックする。

④面接する:求める人材と合致しているかどうかを直接面接してチェックする。

⑤内定連絡する。

⑥採用:雇用契約等を締結する。

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2006年10月25日 (水)

「正社員」と「非正社員」

会社と労働契約関係にある社員には、「正社員」と「非正社員」とがいます。この正社員や非正社員の称号は法律用語ではありませが、一般的には「正社員」とは長期雇用を前提とする労働者、「非正社員」とは必ずしも長期雇用を前提としない労働者という意味で使用されています。法律上での区分は「期間の定めがない労働者」と「期間の定めのある労働者」と区別されます。景気低迷から近年では非正社員層を増やし正社員層が減少しています。

ところで、非正社員層にはパートタイマーやアルバイト、契約社員など呼び名が違う社員がいます。なお、同じ名称で呼ばれていても会社によって捉え方が違っている場合があります。ここで一般的な定義を整理しておきましよう。

・パートタイマー~一般には「正社員に比べて労働時間が短い労働者」のことをいいます。例えば、1週の労働時間が32期間で正社員に比べて短く、一日の労働時間が8時間のフルタイムの社員も含まれます。

・アルバイト~学生や、本業を持つ者が「副業」として働く場合を指すのが一般です。最近では本来の学業や本業を持たない「フリーター」と呼ばれる人たちも増えています。

・契約社員~期間の定めがある契約で働いている労働者を指す場合に用いられています。比較的高度な知識や技術を有する専門職の者を契約社員として雇用する場合もあります。

・嘱託~定年退職者を再雇用する場合、外部の高齢者を雇用する場合、専門的技能を有する労働者を雇用する場合などに使用されます。

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2006年10月21日 (土)

健康診断

健康診断の実施を忘れていませんか?

労働安全衛生法は、事業者に、労働者に対して定期的に一般健康診断(661項)及び一定の有害業務に従事する労働者に対する特殊健康診断の実施を課しています。同法665項では、労働者は健康診断受診義務があります。

また、都道府県労働局長が労働者の健康保持に必要があると判断したときは臨時の健康診断の実施を指示できることとなっています。事業者はこれらの健康診断結果の有所見者に対する事後措置につき、医師または歯科医の意見を聴かなければならない。この意見を勘案し、必要と認めるときは作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講じるほか、作業環境の測定、施設・設備の設置その他の措置を講じなければならない。また必要により受信した労働者に対して、医師又は保健師による保健指導を行うよう努めなければならないとされています。

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2006年10月17日 (火)

安全配慮義務

一定の法律関係にある者が、互いに相手の生命・身体・財産を害さないように配慮すべき義務のことをいいます。労働関係では、使用者は、労働者に対し、雇用契約の付随義務として、信義則上、労働者の生命や健康を危険から保護するよう配慮すべき義務を負います。直接の労働契約がなくても、元請企業が下請企業や孫請企業の労働者に対して負うことがあります。安全配慮義務違反があれば、使用者には債務不履行による損害賠償責任が生じます。

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2006年10月16日 (月)

裁量労働制

裁量労働制は、仕事の進め方や技能的な面から、従業員の裁量に委ねた方がいい場合、実際の労働時間を厳密に管理することなく、一定の労働時間を勤務したものとみなす制度です。ただし、裁量労働制であっても、みなし労働時間数が法定労働時間を超える場合には、会社は36協定の締結・届出と割増賃金の支払いが必要となります。また、深夜労働や休日労働に関する労働基準法の規定は排除されていませんので、深夜労働や休日労働をした場合は、割増賃金の支払が行われなければなりません。

この裁量労働制を採用するには次の条件を満たす必要があります。

①仕事の性質上、進め方を大幅に従業員に任せる必要がある。

②上司が具体的に指示をするのが困難な仕事

③仕事の内容は厚生労働省が具体的に決めたものに限る

この裁量労働制を活用するためには、従業員の過半数の代表と協定「裁量労働に関する協定届」を結び、労働基準監督署へ届け出る必要があります。この手続きをしていない場合は、請求があれば、通常の勤務と同じように割増賃金を計算し、不足分を2年間遡って支払う義務が生じることになります。

裁量労働制には対象となる業務が厚生労働省令で告示されている専門業務型(労基法38条の3)と企画、立案、調査及び分析業務とする企画業務型(労基法38条の4)とがあります。

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2006年10月14日 (土)

採用内定の取消し

一般的に、採用が内定されることによって「入社日を始期とする、解約権留保付の労働契約(解約権留保付労働契約)」が締結されることとなります。この採用内定を取消すことは、会社に留保された解約権が行使し、労働契約を解約することであり、実質的に解雇となります。しかしながらこの取消しをするためには「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められる社会通念上相当として是認することができるものに限られるとして」正当な理由が必要となります。具体的な取消し事由としては次のものが挙げられます。

●重要な採用条件の不成就(大学を卒業できなかった等)

●重大な経歴詐称

●健康状態の悪化

●企業の経営状況の悪化

●重要な必要書類の不提出

●犯罪を犯してしまった。その他の破廉恥行為など 

なお、採用内定の取消しは解雇ですが、内定者は「労働者」とはいえませんので、解雇予告や予告手当を支払う必要はありません。

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2006年10月12日 (木)

変形労働時間制

変形労働時間制とは、ある一定期間を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えないことを定め、これを就業規則や労使協定に定めることで、ある日に8時間、ある週に40時間を超えて労働させることができる制度です。この制度は、忙しい時の残業時間をヒマな時の労働時間に組み替えること等で弾力的な時間配分が可能になります。会社にとっては残業代の削減、従業員にとっても余分に働く必要がなくなり、上手に活用することで経営の効率化につながります。労働基準法では、1ヶ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的な変形労働時間制という3つの種類が定められています。それぞれ、変形労働時間制の導入要件が異なりますので注意してください。

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2006年10月10日 (火)

休日と休暇の違い

休日は、就業規則等により最初から仕事をする義務がないと決められた日です。出勤した場合は割増賃金の対象となります。この休日には法定休日(使用者は少なくとも毎週1回、もしくは4週間に4日以上の休日を与えなければならないと法定されている休日)と法定外休日(法定休日以外の休日を定めるもので、労使間で自由に決めることができる休日)例えば国民の祝日、正月休み、夏休み、創立記念日などです。

これに対して休暇は、本来は仕事をしなければならない日であるが、休暇を申し込むことにより労働義務が免除されることなになる休みです。この休暇も法定休暇(必ず与えなければならない休暇)年次有給休暇、産前産後休暇、育児休暇等などが法定休暇です。法定外休暇は(就業規則などによって法定休暇以外の休暇として与えられる休暇)慶弔休暇や病気休暇等があります。休暇はすべて有給とは限らず、中には無給とされる休暇もあります。注意してください。

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2006年10月 7日 (土)

年俸制度

年俸制度とは、年を単位として賃金を決定する制度です。前年の賃金をもとに、本年度の賃金が上がっていく方式(積上げ方式)から、前年度の賃金には関係なく実績をもとに決定する方式(洗替え方式)へ脱却し、人件費総額の抑制することを目的で導入が進んだ制度です。

 年俸にすれば、残業代が必要ないと誤解をしている経営者が多いようです。しかし、労働基準法では、年俸制度であれば残業代を支払わなくていいとはされていません。年俸制度であっても、残業代を支払う義務に変わりはないのです。

ただし、①管理職②裁量労働制③事業場外みなし労働時間制で働く人たちは、年の最初に年俸額を固定して計算する年俸制度に向いている人です。

これ以外の一般職に年俸制度を導入する場合は、残業代を払う必要があります。それでは具体的に残業代を定額にして年俸に盛り込む方法は次の通りです。

①残業代の何時間分が年俸額に含まれるかを就業規則に記載する。

②通常の賃金と残業代とをはっきりと区別する。

③残業代を法定以上に計算して支払う。

④実際の残業が定額を上回る月は、差額を支払う。

このように年俸制度を一般職まで拡大適用させると煩雑さが増し合理性を欠くことになりかねません。年俸制度の導入には管理職や裁量労働者等に限定して導入することをお勧め致します。

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2006年10月 5日 (木)

年次有給休暇

年次有給休暇とは、従業員が働かなくても給与を支払う必要がある休暇のことで、就業規則に必ず記載しなければならない休暇です。

年次有給休暇は①6ヶ月間継続勤務した従業員②所定労働日の8割以上出勤した従業員の2つの条件を満たしたときには10日の権利が発生します。それ以後は、1年ごとに前1年間の所定労働日数の8割以上出勤した場合に権利が発生します。年次有給休暇は、必ず取得させなければならないという性格のものではなく、会社が積極的に取らせるよう働きかける必要はありません。また、従業員からの申出がないのに取らせていないからといって、罰則を受けることはありません。この年次有給休暇は、従業員が自主的に取得する制度であるがために、これがかえって従業員にとっては年休をとりづらくしていると言われています。年度有給休暇制度の設定趣旨にあるよう従業員の休養や活力養成を図るためには、年次有給休暇の計画的付与や取りやすい職場環境の整備が必要になります。

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2006年10月 3日 (火)

36協定

法定労働時間1日8時間、1週40時間を超えて労働させるためには、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者と労使協定を結ぶことと、これを労働基準監督署へ届け出ることを義務付けています。この協定が「時間外労働・休日労働に関する協定届」いわゆる36協定です。この協定書を作成せずに法定労働時間を超えて労働させた場合は、罰せられるということです。協定する項目は下記の通りです。

①時間外または休日の労働をさせる必要がある具体的な事由

②対象労働者の業務、人数

③1日についての延長時間のほか、1日を超える3ヶ月以内の期間及び1年間についての延長時間

④休日労働を行う日と始業・終業時刻

⑤有効期間

この36協定の記載上の注意点は、「延長できる時間」欄の数値は労働省令で規定している「限度時間」以下で労使協定を結び、時間外労働がその範囲内に収まるようにします。なお、「限度時間」を超えた時間を記載した労使協定を提出しようとすると、労働基準監督署から、「限度時間」内に収まるように助言指導を受けることになります。

詳細の「限度時間」は労働基準監督署か当事務所まで問い合わせ願います。

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2006年9月28日 (木)

時間単位の有給休暇は?

2時間とか3時間とか時間単位で年次有給休暇を取らせることは可能ですかという相談を受けました。

残念ながら時間単位の有給休暇は認められません。なぜなら年休は原則として1労働日を単位として、つまり24時間の休養を原則として付与することとされているからです。年休を細かく区切って付与したのでは、心身の疲労を回復しゆとりある生活を、という年休の趣旨から外れることとなってしまいます。

 現在では労使双方の要求の多さと年休の取得促進という観点から、例外的に半日単位の付与は認められていますが、時間単位の付与までは認められていません。ただし、法定日数を超えて年休が付与されている場合には、その超えた部分の付与年休に対してならこのような規制を受けないので、時間単位の付与も問題ないと考えられます。

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2006年9月26日 (火)

退職時の有給休暇の買上げ

「月末で退職する者が残っている有給休暇をすべて使い切りたいといっています。繁忙期なので多少のお金を払ってでも働いて欲しいのですが、退職時でも休暇の買上げはできないのでしょうか」との相談がありました。

 有給休暇を行使しないまま退職により消滅した場合、残日数に応じて金銭を支払うことは事前の買上げとはなりませんが、あくまでも本人自身が休暇を行使しなかった場合に限られます。本事例の場合は、休暇行使の意思表示があるため買上げは困難です。ただし、本人が買い上げることに同意すれば問題ありません。一度その本人に話されてはどうでしょうか。

 有給休暇の買上げは、基本的には違法とされています。というのは労働基準法第39条に「休暇を与えなければならない」と規定されており、休暇を取らない日に金銭を給付しても休暇を与えたことにはならないからです。

 また、休暇の権利については一般的に、本人が請求しない限り会社は与えなくてよいと思われがちですが、最高裁(S48.3.2)は、「何日休めるかという休暇の権利そのものは請求の有無にかかわらず基準法の要件を満たせば当然に発生しており、いつ休むかという時季の指定だけが請求の対象となる」旨の判示をしています。

 ところで、本人が休暇を残したまま退職する場合には、休暇の権利は消滅します。この場合、残日数に応じて調整的に金銭を支払うことは、事前の買上げとは異なるので必ずしも違法とはいえません。もちろん「休暇を取らなければ後で買い上げる」という交渉ごとがあれば事前買上げとなってしまいますが、「退職時、休暇の残日数があったときはいくらを支給する」等の規定を定めての運用であれば、何とかクリアできるはずです。

有給休暇は、本人自ら行使しないことまでは問われません。もともと買上義務もありません。事例の場合では、本人がすでに休暇を使い切ると表明していますので、真正面から買上げで対抗することは不可能です。しかし買上制度があれば、やんわりと「結果としての買上制度もあるよ」と教示することまではできるでしょう。間違っても「買い上げるから休むな」といってはなりません。要は本人の意思で買上げの制度を使って休暇を事実上消滅させるのが経営者として懸命な方法といえるでしょう。

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2006年9月25日 (月)

請負人か労働者か

 請負契約(外注)の場合は、労働者ではなく外部の者で、また、発注していた業務が完了した場合には、賃金を支払うのではなく、あらかじめ契約しておいた外注費を支払うことになるので労働者とは考えません。よって労災保険の適用がないのが原則です。

 しかし労働基準法上の労働者となるかどうかの判定は、当該契約書のタイトルが請負契約となっているかどうかという形式的なことではなく、その契約の実態により判断されることになります。特に、「週1日の出社」や、「月々定額の外注費の支払い」ということが、実態として労働者であると考えられる可能性があります。もしそうであるとするならば各種保険への加入や割増賃金の支払いなども適用されますので注意が必要です。

 この判断基準としては、下記のようなものがあり、それぞれに該当している場合は、実態として労働者であると判断される一つの要素となります。

① 仕事の依頼、業務従事の指示に対して諾否の自由がない ⇒労働者であると判断される。

② 会社が業務の具体的内容、遂行方法を指示し、業務の進行状況を本人から報告などにより把握、管理している ⇒労働者であると判断される。

③ 勤務時間が定められ、本人の自主管理および報告により管理している ⇒労働者であると判断される。

④ 当該業務に従事することについて代替性が認められていない ⇒労働者であると判断される。

⑤ 報酬が、時給、日給、月給等時間を単位として計算されている ⇒労働者であると判断される。

⑥ 仕事をする上での機器が会社から無償貸与されている ⇒労働者であると判断される。

⑦ 他の会社の業務に従事することが制約され、または事実上困難である ⇒労働者であると判断される

 最近、新聞等で偽装請負の報告がなされていますが、本来、労働者として取り扱うべき者に対して、請負人として、簡単に労災や社会保険の適用を除外する会社の姿勢はどうかと思われます。

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2006年9月 6日 (水)

時間外労働、休日労働

新規の顧問先から「パートにも残業時間にはすべて25%増の賃金を支払わなければならないのですか?」「残業の単価は勝手に決めていいのですか?」「社会保険料の控除は毎月の賃金によって変えるのですか?」「試用期間は労働保険社会保険の適用をしなくて良いのでは?」などの質問を受けました。はじめはこんな事も知らないで社長をよくやっているなと思いましたが、誰もがはじめて人を雇い給与を支払う段階ではこの程度が当たり前です、社長はスパーマンではありませんし、私達の存在意義や必要性はこんなところにあるのだと痛感しました。

ところで、労働基準法では「時間外、休日労働させた場合は割増賃金を支払う必要がある」と記載されていますが、ここでいう時間外とは、「法定労働時間1日8時間、1週間40時間を超えた時間」のことをいいます。企業の所定労働時間たとえば就業時間が9時~17時まで(休憩1時間)で7時間となっている場合、7時間)ではありません。ですから所定労働時間が7時間の企業の場合では、ある従業員がその日について合計9時間就業した場合、最初の1時間分については時間換算した場合の通常の賃金、後の1時間については2割5分増の賃金ということとなります。

休日労働(通常の賃金の3割5分増)でも注意が必要です。労基法上、法定休日とは「週1回」。仮に週休2日制の企業で休日に1日出勤してもその1日分については労基法上通常の賃金でもかまわないこととなります。ただ、1日出勤したことにより、1週間の労働時間が40時間を超えた場合は、その超えた部分は上記のように時間外労働として「2割5分増」となります。もちろん就業規則その他規定、36協定の締結・届出が必要になるのはいうまでもないことです。

労基法はあくまで「最低基準」ですので、トラブルが起きて問題が起こらないよう、しっかりした労務管理体制が必要です。

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2006年9月 5日 (火)

サービス残業

「サービス残業」とは、賃金が支払われない時間外労働や深夜・休日労働のことで、労働基準法32条の法定労働時間(一日8時間以内、週40時間以内)を超え残業をさせる場合には、いわゆる36協定等の要件を満たすことが必要となり、要件を満たさないでなされた残業は労基法32条違反となりお6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処すると規定しています。この「サービス残業」は厳しい企業間競争の激化や企業の生き残り策として人件費の大幅な削減に伴って増加の一途を辿っている。厚生労働省によると平成15年度のサービス残業の是正指導件数は18,511件と過去30年間で最も多くなっているといわれている。ある調査によると、法律どおりに残業代や割増賃金が支払われていない会社には、最大で過去2年分の支払いを命じ、100万円以上の支払命令を受けた会社が613企業、うち1000万円以上の支払命令を受けた会社は119企業となっています。また、新聞等では労働基準法違反容疑で逮捕されたり、電力会社でサービス残業代として総額65億円を支払ったなどの記事が掲載されています。

具体的に基本給300万円の人が毎日1時間のサービス残業をした場合の不払額は、次の通り計算されます。300000÷20=15000円、15000÷8時間=1875円(時間単価)、1875×1.25×20日×12ヶ月=562500円、562500×2年間=1125000円です。たった1時間の残業が100万円以上の支払額となり、何人もの人が恒常的に残業している場合などでは総額が1000万円以上を超えることはめずらしいことではありません。安易にサービス残業させると後で痛い目に合うことになります。目先のコストよりも働きやすい環境と残業の許可制によるメリハリのついた時間管理が重要な時代になりました。

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2006年9月 1日 (金)

振替休日と代休

振替休日と代休の違いについて、最近よく質問を受けます。ここで改めて確認しておきたいと考えています。

 振替休日は、あらかじめ特定して他の日に休日を振り替えることであり、代休は休日に労働させておいて、代償として後で代わりの休日を与えることを言います。これだけの説明ではまだごちゃごちゃしていますね。例を挙げて説明します。

もともと日曜日が休日だったとします。その休日をあらかじめ金曜日に変更しておくことを「振替休日」と言います。そうしますと、もともとの日曜日に出勤させてもその日曜日は所定労働日となりますので、休日出勤による割増賃金は不要です。

それでは、代休はというと、日曜日に出勤させておいてその代わりに月曜日に休みを与えることです。その場合は、日曜日である休日出勤した事実は消えませんので、休日出勤による割増賃金(3割5分以上)が必要となります。それで、月曜日に代わりに休んでいますので、通常の賃金部分(割増部分ではなく所定労働に対する部分)は控除できます。まさに、「似て非なるもの」と言えます。

ですから休日出勤させる業務上の必要があるなら振替休日を利用し、割増し部分のコストを節減したほうがメリットがあることは一目瞭然です。とくに土日などにイベント業務がある場合などには効果的です。

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2006年8月24日 (木)

再雇用と勤務延長

既往の回で説明したと思いますが、改正高齢者雇用安定法による継続雇用制度の措置を取ることを選択した事業所では、60歳から65歳までの間社員を再雇用するかあるいは雇用の延長をしなければなりません。ここで言う再雇用とは、60歳の定年により一旦は労働契約を終了し、再度労働契約を締結するということです。これに対して勤務延長とは、定年が設定されたままその定年年齢に達した者を退職させることなく引き続き雇用する制度です。私見ですが、中小企業においては、コスト面から見ても再雇用を選択し、雇用条件の洗い替えすることが懸命であると思います。

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2006年8月22日 (火)

高齢者の継続雇用

現在の定年制は60歳が中心です。ところが、現行の公的年金制度は、すでに平成13年から65歳満額支給に向けて定額部分の支給開始年齢の引き上げが開始されており、60歳で退職しても、年金が満足に受給できず、生活に困ってしまいます。この年金支給開始年齢の引き上げスケジュールに合わせて、改正高齢者雇用安定法によれば、65歳以上の定年を定めている場合以外は高年齢者雇用確保措置として①定年の引き下げ②継続雇用制度の導入③定年の定めの廃止の3種類を挙げ、そのいずれかの措置を講じなければならないと定めています。中小企業では移行が比較的容易な継続雇用措置を選択する場合が多いが、定年後の社員が望めば、すべて継続雇用しなければならないと考えている事業主がいます。

確かに原則は希望者全員を対象としていますが労使協定により社員に基準を設けることが可能としています。つまり、会社としては、本当に必要な社員なら定年後も再雇用で残し、そうでないなら新しい戦力をそこに入れて新陳代謝を計りたいと考えるはずです。また、この労使協定が不成立であっても、この改正高齢者雇用安定法施行後の5年間(中小企業の場合)は、使用者の側で就業規則等で対象社員の基準を定めることができるとされています。当事務所では、高齢者雇用安定法に基づく就業規則の改正や各種規定の整備など取り扱っています。気楽に相談してみてください。

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2006年8月21日 (月)

退職届と退職願

一般に「退職届(辞表)」は最終的な意思の表示とされ、特段の事情がなければ撤回できないとされています。それに対して「退職願」は、会社の承諾(受理した旨)が伝えられて退職の効果が発生する合意退職とされています。本人が撤回できるかどうかの形式論ではなく、会社にとって残って欲しい社員なのか辞めてもかまわない社員なのかによって対応が違ってきますが、ドラブルを未然に防止する観点から「退職願」の場合は速やかに承諾通知(承諾できない場合は慰留する書面を)を残しておくことが懸命です。

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2006年8月19日 (土)

採用の自由

会社には、誰を採用するか否かの「採用の自由」がある。これは民法の「契約締結の自由」(憲法22条営業の自由及び憲法29条財産権の保障を根拠に)に基づくものであります。もっとも、採用の自由でも無制限でなく一定の限界があります。判例でも採用の自由を認めつつも、法律その他による特別の制限がない限りと条件を付しています。具体的には①男女雇用均等法による機会均等を義務付けている②障害者雇用促進法による雇用率の確保③同和問題の行政指導など差別の解消などがあります。次に「採用の自由」に関する有名な判例を紹介いたします。

○三菱樹脂事件

「憲法は、・・・22条、29条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由をも基本的人権として保障している。それゆえ、企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の権限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、企業者が特別の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないのである。・・・・企業者が雇用の自由を有し、思想、信条を理由として雇入れを拒んでもこれを目して違法とすることができない以上、企業者が、労働者の採否決定にあたり、労務者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関する事項についての申告を求めることも、これを法律上された違法行為とすべき理由はない」

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2006年8月18日 (金)

身元保証書

以下のような場合、労働者が会社から損害賠償を請求されることがあります。

1.労働者が一方的に退職してしまったために、会社の業績が著しく滞った。

2.横領した。

3.居眠り運転などで事故を起こした。

4.商談等をスッポカシたため取引先の信頼を失った。

5.故意に、会社の備品を破壊した。

この場合、労働者本人が支払うことができない場合や逃げてしまった場合を想定して身元保証契約を交わして損害を保証しようとするものが身元保証書です。

この身元保証人は責任が重大なので次のような決まりがあります。①身元保証人の保証期間は期間の定めない場合は3年間、期間の定めある場合は5年間までとしています。②会社は労働者の勤務態度に問題があり、身元保証人に責任が出そうなときや仕事内容・勤務地が変更したときは保証人に通知する義務がある。

 この通知を受けたときは、「もう、身元保証はイヤだ・・」と思ったら、身元保証を解約することができます。実務的には形式的に身元保証書を取っている企業が多いと思いますが、会社の損害を保証するためにもこの身元保証契約を上手に運営すべきです。

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2006年8月16日 (水)

パワーハラスメント

パワハラの定義は確定したものはありませんが、中央労働災害防止協会によるとパワーハラスメントとは、「職場において職権などの力関係を利用して相手の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることにより、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えること」とされています。パワハラは公的な基準がないことに加え、業務との関連で行われるケースが多いため、その行為がパワハラに該当するかどうかの判断しづらいという特徴があります。したがって判断基準は個別に対応しなければなりません。一般的には次の4つの項目について総合的に考慮して判断するとしています。

①職権や地位を利用する行為②本来の業務の範疇を超える行為③継続的に人格と尊厳を傷つける言動④職場環境を悪化させる、または雇用不安を与える行為

パワハラは著しく人格権を侵害する行為ですから、セクハラと同様、加害者には不法行為責任が、会社には使用者責任が問われ場合によっては損害賠償を求められ可能性もあります。また、社内の業務効率の低下や、人材の流出を防ぐためにも適切な対応策を講じなければなりません。具体的には社内教育を実施することや相談窓口を設けるなどです。

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2006年8月15日 (火)

「労災隠し」は犯罪

 「労災隠し」は、もともと多くの請負労働者を抱える建設業で目立っていますが、近年になって製造業でも多く見られるようになってきています。バブル崩壊後に大手メーカーではコスト削減から工場に請負形態の労働者を使用し人件費抑制が図ってきています。建設業と同じく同一作業場に多数下請け会社が混在する工場となってきました。このような多重下請け構造の中で、単に人材を派遣しているだけなのに請負契約を装う違法な労働形態「偽装請負」が行われ、メーカーと請負会社及びその下請けの間で安全責任の所在が曖昧になっている中で「労災隠し」が横行しています。

 「労災隠し」の背景としては、ありのままに報告するとメーカーや親会社から仕事が打ち切られるのではないかとか労災保険を使うと労働基準監督署に睨まれ調査の対象となるのではないかなどの懸念から「労災とばし」や「労災隠し」が行われるようです。新聞等での摘発例では、自動車部品メーカーのTSKが請負労働者に直接指揮命令する「偽装請負」が行われ安全責任体制が曖昧であったことが「労災隠し」になった例やシャープの下請け会社が労災場所を偽った報告をした例などが報道されています。「労災隠し」は犯罪であり、書類送検されるケースも最近ではめずらしいことではありません。いずれにしても「労災隠し」が横行すると、危険が見過ごされ、もっと深刻な労災事故につながりかねません。「労災隠し」を防止するには、メーカー、親会社、下請け会社、労働者のそれぞれかが正直に報告することができる体制を整えることが重要です。

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2006年8月12日 (土)

休日のアルバイト

就業時間後や休日にアルバイトを行う例が多く見受けられるようになりました。雇用維持という労働政策からいわゆるワークシェアリングや、時間短縮などを行った企業では、従業員の減収が現実のものとなり、デフレ時代で賃金が伸び悩むなかで生活費等の補充するためアルバイトも止む無しという考え方もありえると思います。また、厚生労働省による「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」の報告書でも、副業禁止規定はやむを得ない事由がある場合を除き、原則無効とすることが適当であると述べています。しかしながら企業としては、アルバイトによって過剰労働になり自社の業務に支障が生じたり、それが原因で事故を起こしたり、また労働災害の被災者になる、あるいは同業への二重就職で秘密漏洩につながったり、競業により営業への損害を蒙るようでは大変なことになります。副業を認める場合は、上記の弊害を十分に配慮した上で許可制にすることが現時点では最も適切な考え方だと思います。

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2006年8月10日 (木)

労働条件の明示

労働条件通知書を従業員に渡していますか?

中小企業でよく見られることですが、面接時に労働条件を口頭で伝えたので問題はないとしている事業主がいます。労働基準監督署の調査を受けあわてて作成する例もみられます。

この労働条件通知書は労働基準法第15条とその附則によって、「使用者は従業員に労働条件を明示しなければならず、その条件のいくつかは書面で通知しなければならない」とされています。具体的に書面交付が義務付けられているものは下記の5項目です。①雇用契約の期間に関する事項②就業の場所及び従事すべき業務に関する事項③始業。終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項④賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項⑤退職に関する事項です。トラブルの未然防止のためには、書面明示事項以外の事項(口頭の明示でよい事項)についても就業規則等に定め周知徹底すべきです。

「企業は人なり」と言いますが、人材がいなければ会社の存続・発展はあり得ません。優秀な人材を確保・定着させるためにも、会社が従業員に対して初めて会社の姿勢を説明することが、この労働条件通知書の交付です。また、従業員から見ると「しつかりした会社」という印象となりモチベーションアップにつながります。当事務所では雇用契約書に労働条件の明示項目を網羅したモデル労働者名簿兼雇用契約書(エクセルシート)を開発しています。興味のある方はメールにて問い合わせてください。サンプを送付いたします。

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2006年8月 7日 (月)

休職期間中の保険料

 休職期間とは、雇用契約の関係はそのままとして、使用者が、ある程度の長期期間に渡って労働者の労務提供の義務を免除することです。つまり、労働者としては、従業員としての身分は保たれた状態で長期間欠勤することができ、使用者としては、その間給与を支払う必要がありませんので、お互いにとって便利な制度です。

 なお、休職制度を設けるかどうかは労使が自由に決めることができます。就業規則で規定する場合は、最低でも次のことは規定することが必要になります。①どんな場合に休職となるか②診断書や証明書の提出などの手続き面③休職期間の賃金や賞与の支払い問題④休職期間を勤続年数として算入するか⑤復職の手続きなどです。

 一般的に休職期間は無給となります。休職期間中の社会保険料等については、給与が支払われるかどうかにかかわらず、労働者が会社に在籍している限り、本人から徴収することになります。給料が支払われていない場合の社会保険料等の徴収方法としては、その都度徴収する方法や前もって保険料相当分を預かるか、会社が一旦立替て、復職していら一括または分割で返してもらうなどの方法があります。なお、無給とする場合に社会保険料を本人から徴収せずに、会社が支払うと所得税法上賃金とみなされ課税対象となりますし、社会保険料も報酬とみなされ、傷病手当金が一部支給停止となる場合がありますので、注意が必要です。

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2006年8月 5日 (土)

自発的残業は時間外労働

自発的残業には、使用者(管理監督者)の黙示の命令や承認があると主張できるものと労働時間中にできる量の仕事なのに、ダラダラ残って残業代を稼ぐものなどがある。

前者は、管理監督者がその勝手な労働を知っておりながらそれを業務上の必要性のあるものと認め、承認する意思で、何ら中止させず放置していた場合などその労働の結果を企業に帰属せしめることになるので、指揮監督下の黙示の命令や承認による労働として、労働時間になる。また、最近のホワイトカラー的な労働が増加する中で、仕事や残業時間につていの考え方が、命令によって行うという方向から、業務の自主管理性へとなってきている。このような現況から時間管理が自己申告制に進んでいます。このことは当然残業管理も本人に帰属し労働時間とされる。いわゆる裁量労働や事業場外労働など相当の自己裁量性を有する制度は、厳格な労働時間管理になじまないものです。しかしながら、国は、このような自主制を認めつつも使用者の労働時間把握・算定義務は公法上のものであり、免除されていないなどの矛盾を含んでいます。

 後者は、管理監督者が「残業するな」という業務命令を無視してダラダラ残業をするのであるなら時間外労働と認めることはできず、業務命令違反として懲戒の処分の対象になることもあり得ます。このような場合の対策としては残業許可制の導入を検討すべきです。この残業許可制は就業規則等に残業するためのルールを決めておいて適性に運用されている場合は、勝手なダラダラ残業を認めなくても違法ではありません。ただし、当然時間内に完了できない仕事を指示している場合は残業代の支払いが必要とされるケースがあります。

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2006年8月 3日 (木)

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントとは、「相手方の意に反する性的な言動で、それに対する対応によって、仕事を遂行する上で一定の不利益を与える(対価型セクハラ)、または、就業環境を悪化させる(環境型セクハラ)こと」と定義されています。

「意に反する性的な言動」の判断基準は、受けた側が「不快に感じた」あるいは「嫌な気持ちになった」かどうか、受け側の主観に委ねられていることが重要であります。

これはセクハラをした側がこれぐらいのことならセクハラにならないだろうと思っていたとしても、受けた側が不快な気持ちになったのであればセクハラであるということです。

では、なぜ職場におけるセクシャルハラスメントが問題なのか、被害者がセクハラ行為によって心に大きな傷を負わされ、その望まない性的な言動を受けた結果、被害者が能力の発揮を妨げられ、しいては職場をやめざるを得なくなったりすることが少なくありません。

また、セクハラの相談・苦情を申し出たことによって減給・降格など不利益な待遇を受けるなどの問題と発展することもあります。このようなセクハラ問題は職場における人権侵害であるとともに性差別であり、単なる個人的な問題として処理されるような問題ではなくなってきています。

そこで、男女雇用機会均等法第21条では、「事業主は、職場におけて行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。」としている。また、平成11年に施行された改正男女雇用機会均等法では、職場におけるセクハラ行為が発生しないよう事業主が何らセクハラ防止措置を講じなかった場合に、職場でセクハラ行為が発生したときは、事業主にも管理責任があるとしています。「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」では、事業主に対して、次に挙げる事項のセクハラ防止措置を講じなければならないとしています。

1.事業主は、セクハラに対する方針の明確化及びその周知・啓発をしなければならない。

2.被害者の相談・苦情への対応のための窓口を明確にしておき、その内容・状況に柔軟に対応すること。

3.職場におけるセクハラ行為が生じた場合に事実関係を迅速かつ正確に把握し、適切な対応をすること。

これらの措置を怠ると、実際に社員がセクハラに該当する行為を行い、その事実が発覚した場合には、本人に対する損害賠償請求(民法第709条)や精神的損害による慰謝料請求(民法710)が行われます。また、もちろん事業主にも、使用者責任に基づく損害賠償請求(民法715条)が行われるなどの法的責任を追及される可能性が高いと考えられます

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2006年8月 1日 (火)

残業手当の定額払

会社によっては、時間外手当を実際の時間による算定ではなく一定額に決めて支給するいわゆる固定残業手当制度を導入しているところがあります。この定額払い制度そのものは法律に抵触するものではありませんが、実際の時間外手当よりも定額払いの金額が少ない場合に問題となります。また、この一定額払いの名称を営業手当や職務手当という名称で残業部分と営業手当と両方を支給している企業も多いようです。この場合は就業規則に明記し、残業相当分とそれ以外の部分とが明確に区分でするようにすることが大切になります。営業のみなし労働時間(事業場外労働に関する協定)と営業手当を含めて就業規則には、次のように記載することが肝要です。「営業に従事する者は外勤や出張等により会社外で勤務し勤務時間を算定しがたい場合は、営業業務遂行に通常必要な時間勤務したものとみなす。上記の時間外手当相当分については営業手当として支給する。」なお、この定額払いに関するトラブルの参考として、三晃印刷事件を紹介いたします。

■三晃印刷事件(一部省略)

 現実の時間外労働及び深夜労働の有無及び長短にかかわらず、営業部の男性従業員には月24時間分の割増賃金(固定残業給)を支給し、この他には一切割増賃金を支給しないという取扱いをしていたY会社の営業部の従業員Xらが、現実の時間外労働及び深夜労働により支払われるべき割増賃金が月24時間分を超えた場合の差額の割増賃金、遅延損害金、及び付加金を請求した事例において、裁判所は以下のように述べて、Xの請求を認容しY会社からの控訴を棄却した。

「この固定残業給はY会社と条業員との間で労働契約の内容となっていた。従業員の実際の残業時間が固定残業時間を超えている場合には、その差額を放棄する特約まで労働契約の内容となっていたと認めるに足りる証拠はなく、仮にそうであったとしても右の特約は労働基準法13条に反し無効であり、この理は労働協約であれ、労働慣行であれ異ならない。」

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2006年7月30日 (日)

内部告発

近年、食品の偽装表示や食中毒、リコール隠し、株主への利益供与など大企業の不祥事が相次ぐ中で、企業のコンプライアンス(法令遵守)の確立といったことが社会的に注目を集めています。特に最近の不祥事はいわゆる内部告発によって公になったケースが少なくありません。昔は「内部からの告発」というと「告げ口」的な後ろ向きな意識が存在し、通報した者は会社の機密を漏らしたということで懲戒の対象になることさえありえます。

しかし、現在の内部告発に対する受け止め方は「企業ぐるみで悪意を貫くことが許されるだろうか、いや、消費者が重大な被害を受けるに至っては企業倫理を放置できない」という風潮に変化してきています。また、平成18年4月から施行された「公益通報者保護法」で通報をしたことを理由とする解雇は無効となると規定しています。(公通保護法3条)また、労働基準法では労基法違反の申告を理由とする不利益取扱いを禁止しています。(労基法104条)ところで、裁判所で内部告発者に対する処分の適否の判断するにあたって考慮している事項は①目的の公益性②告発の方法や告発先が相当か③告発内容が真実であるか又は真実であると信じるに付き相当な理由があることとされています。つまり、通報対象事実に合理性があれば保護される。

 この内部告発とは、「使用者の違法な行為や不当と思われる行為を企業外の第三者に訴え、それによって適正あるいは自分の希望する解決や是正をはかろうとする行為」と定義することができます。

それでは、企業は内部告発に対して具体的な対策として、社内通報窓口の設置や内部公益通報保護規定の制定など考えられますが、根本的には法律を遵守する以外に有効な方法はありません。たとえば労働者に社内窓口で内部告発を行わないように仕向けたところで、無駄なことは火を見るより明らかです。

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2006年7月27日 (木)

試用期間

試用期間とは「従業員を採用するにあたって、採用予定者に対し面接だけでは知り得ない職務遂行能力や勤務態度等を観察し本採用にするかどうか判断する期間」とされています。

多くの企業では、正規従業員(特に新入社員)の採用に当たって、3ヶ月程度の見習い期間を設け、その間に能力や人物を確認して正社員として本採用するかどうかを判断することにしています。この試用期間の法律的な解釈としては、解約権留保付き労働契約と解されています。しかしながら期間満了時に留保解約権を行使するためには、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認される場合のみ認められています。(最高裁判例:三菱樹脂事件)

 中小企業においては、試用期間中いつでも簡単に解雇できると考えている社長が意外と多く、14日経過後解雇予告も予告手当も支払わずにトラブルを招いた事例が数多く見られています。このような使用期間に関するトラブルを防止するポイントは、①就業規則に試用期間を設ける旨を規定し、試用期間の期間・労働条件及び試用期間の短縮・延長することがあること等を明記する。②不幸にも能力不足や不適正な者に対しては、解雇予告手続き(解雇予告・解雇予告手当)を取って解雇する。③面接時に懸念がある者は迷わず14日以内で早めに判断すること。

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2006年7月18日 (火)

無断欠勤による解雇

【相談事例】

最近まで元気で働いていた社員が、突然出社しなくなり、同僚や上司が電話をしたが、直接連絡が取れず、2週間以上にもなります。今後どうしたらよいでしょうか?

【回答】

在籍の意思がないとみなし、自己退職とする。

無断欠勤が2週間も続けば、会社としては本人が在籍の意思がないと受け取るのが自然であり、一般の会社では、就業規則に「2週間の無断欠勤で解雇する」と記載されているところが多く見られます。通達(S12.11.11)にも「2週間以上正当な理由無く無断欠勤し、出勤の催促に応じない場合には労働基準監督署長の解雇予告除外認定許可を受けることで即時解雇できる」としています。

今後の対策として、就業規則に下記のように明記すると同時に入社時の説明と労働条件通知書に特記することで充分周知すること。

■就業規則記載例

第○○条 従業員が無断欠勤が連続して2週間に及んだときは、その最終日をもって自己退職したものとみなす。この場合、退職金は支払わない。ただし、会社への連絡が、病気その他特別の理由でやむを得ずできなかったと会社が認めたときは、会社は取り消すことができる。                                                                                    

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