2007年5月11日 (金)

口頭による採用内定

【質問】A社で働く社員が転職先を探してB社の面接を受けたところ、その場で採用担当者から口頭で「採用する。2カ月後には来てほしい」と言われ、A社にすぐ退職届を出しました。しかし、その後B社が「採用するつもりはない」と態度を変えました。社員が内定取り消しとして損害賠償を求めることは可能でしょうか。

【回答】法律上、内定は、「始期付解約権留保付労働契約」として一定の拘束力を持ちます。一般の解雇よりも基準は緩いですが、合理的な理由なしに契約を取り消すことはできません。

では、どのような状態なら「内定成立」といえるのかですが、一般的に、雇用する側と雇用される側の意思が合致し、両者の合意があったとみなされた時点で内定は成立するとされています。重要なのは、この「合意の有無」であり、口頭での約束か文書かは判断基準ではないとの考えが一般的です。

ただ、口頭での採用の意思表明は、裁判時の証明が難しいという難点があります。その場合は、身体検査の実施や就業規則の交付などが状況証拠になるといえます。いずれにしても、会社側から何らの書面を頂くようにしましょう。

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2007年2月21日 (水)

解雇の金銭解決制度

【質問】金銭さえ払えば解雇ができるようになるってホント?

【回答】解雇の金銭解決制度とは、解雇が無効であっても一定の金銭支払いにより雇用契約は終了するという制度ですが、平成164月に「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」で労使間の争点として検討すべき事項とされました。平成1812月には「今後の労働契約法制の在り方について」の労働政策審議会答申では、労働審判制度(H18.4施行)の調停や個別労働関係紛争制度のあっせん等の紛争解決手段の動向を踏まえつつ引き続き検討すべき事項としています。平成19年1月に厚生労働省から出された「労働契約法」の法案要綱には解雇の金銭解決法は「ホワイトカラーエグセンプション」とともに見送りとなりました。なお、今回の労働契約法の要綱では、就業規則の役割を大幅に引き上げ、条件を満たせば就業規則の変更で労働条件を変更できるようにすることがPOINTとされています。

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2007年2月16日 (金)

解雇予告と解雇予告手当

【質問】解雇予告の期間を短くすることができるか

【回答】労働基準法第20条では、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日以上前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」とされています。この解雇予告の期間は、たとえば10日分の平均賃金を支払と20日前に予告が可能となり、20日分の平均賃金を支払えば予告期間は10日前で、解雇を通知する日に解雇する場合は30日分以上の平均賃金を支払えばよいとされています。つまり平均賃金を支払った日数分だけ解雇予告期間が短縮されます。

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2007年2月15日 (木)

退職の申出

【質問】退職届の提出を2ヶ月前とすることができるか

【回答】退職の申出は、いつでもできるし、本人が辞めたいと申し出て2週間を経過すれば、雇用期間は終了して自動的に退職となります。(民法627) 従業員は自分の意思に反して働くことを強制されることはありませんし、退職にあたって、会社の承認もいりません。また、就業規則で退職の申し出は2か月前にという規定を設けても法的には無効となります。とはいえ、実務的には就業規則に業務の引継ぎ期間等を考慮したうえ1か月前に申し出ると規定しているところが多いようです。その程度の期間ならビジネスの常識と考えなくてはなりません。いずれにしても、労働契約は従業員と会社の問題です、お互いに合意の上で退職日を決めるべきです。

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2007年2月14日 (水)

成績不良の社員への対応

【質問】成績の悪い社員を辞めさせることはできるか

【回答】一般論では、ちょっと労働能力が劣っている程度や、成績が悪い程度では解雇できないとされています。成績の悪い社員を辞めさせるためには、日頃から口頭や書面で注意・指導し改善するように働きかけなければなりません。それでも改善されなければ配置転換や教育研修の検討・実施し、それでも改善の見込みない場合に退職勧奨することになります。

実際には、能力不足の立証は困難です。現場の管理職が日常的な指導・注意をしつつ、それでも改善しないのであれば裁判所に理解してもらえるような具体的な事実をしっかり押さえておくことが肝要です。

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成績不良の社員への対応

【質問】成績の悪い社員を辞めさせることはできるか

【回答】一般論では、ちょっと労働能力が劣っている程度や、成績が悪い程度では解雇できないとされています。成績の悪い社員を辞めさせるためには、日頃から口頭や書面で注意・指導し改善するように働きかけなければなりません。それでも改善されなければ配置転換や教育研修の検討・実施し、それでも改善の見込みない場合に退職勧奨することになります。

実際には、能力不足の立証は困難です。現場の管理職が日常的な指導・注意をしつつ、それでも改善しないのであれば裁判所に理解してもらえるような具体的な事実をしっかり押さえておくことが肝要です。

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2007年2月 9日 (金)

雇い止め

【質問】数回更新したパートは期間満了を理由にやめてもらえるか

【回答】契約期間を定めた雇用契約の場合、本来はその期間が終了すれば自然に退職することになります。しかし、実際には、長期雇用(「ずっと働いてほしい」と言われた)が予定され、契約更新を繰り返すケースがあります。状況にもよりますが、更新を繰り返すと期間の定めがない雇用と同じと判断され、パートでも社員と同じように簡単に解雇することができません。雇い止めをするためには相当な理由が必要になります。裁判例によれば、次の要素をもとに判断されているようです。

①更新の手続実態

 契約更新の状況(回数)、更新手続時における手続きの厳格性の程度など

②業務自体の性質・契約上の地位の性格

 業務内容が恒常的なのか臨時的なのか、正社員の業務内容と同一なのか否か

③使用者の態度

 使用者に雇用継続を期待させる言動があるか、期間満了による労働契約の終了を社員が認識しているか

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2007年2月 8日 (木)

懲戒事由で即時解雇

【質問】懲戒解雇事由に該当したら即時解雇できるか

【回答】懲戒解雇でも、30日前の予告または30日分の解雇予告手当が必要になります。例外として解雇予告や解雇予告手当がいらないケースとして次の2つがあります。①天災その他やむを得ない理由で会社の継続がむずかしい場合で労働基準監督署長の認定を受けた場合②従業員に問題がある場合で労働基準監督署の認定を受けた場合は30日前の予告は必要ありません。②の場合はかなり重大な職務違反があった場合認定されます。いずれにしても、懲戒解雇事由のみで即時解雇はできません。

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2007年2月 6日 (火)

退職金不支給の有効性

【質問】懲戒解雇の場合、退職金を支払わなくて良いか

【回答】上記の質問は、懲戒解雇の場合に、退職金を支給しなかったり、減額したりすることは法的に問題がないかというとですが、厳密に言うと、懲戒解雇と退職金の不支給・減額とは無関係なものといえます。しかし、学説も裁判例も、懲戒解雇の場合に退職金の減額・不支給を就業規則に規定しても有効としています。ただし、退職金には賃金の後払的性格と功労報償的性格がありますので、懲戒解雇された場合でも、退職金不支給が有効かどうかはケースごとの判断になります。同じように、競業会社の設立や競業会社への就職が不支給事由とされる場合も、退職金不支給が有効か否かはケースによって異なります。

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2007年2月 5日 (月)

減給制裁の上限

【質問】制裁による減給はいくらでもよいか

【回答】労働基準法91条では、「減給処分は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」と規定しています。具体的には、1回の制裁の場合、1日の平均賃金を10、000円と仮定すると、1回の制裁について減給することができる上限はその半分5、000円となります。また、数回の制裁の場合は、一賃金支払期における賃金総額が200、000円と仮定すれば、10分の1の20、000万円までしか減給できないことになります。

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2007年2月 2日 (金)

懲戒処分のルール

【質問】懲戒処分は例示的なものだけを規定し、それを運用してよいか

【回答】懲戒処分は、会社が社員に対して行う特別な制裁です。社員にしてみれば、刑事責任を問われるのと同じぐらい重い制裁といえます。それだけに、裁判例では罪刑法定主義類似の原則により、会社に対して次にあげるさまざまなルールを要求しています。

①あらかじめ就業規則で懲戒の事由とこれに対する懲戒の種類・程度が明示されなければならない

②根拠規定が設けられる以前の事柄について遡及的に適用されてはならない

③同一事犯について2回懲戒処分を行ってはならない

④同種事犯については同じように処分しなければならないとの平等取扱の原則

⑤懲戒事由と処分は均衡を保たなければならないとの相当性の原則

⑥懲戒処分をなすについては適正な手続が必要であること

①の就業規則に懲戒の事由等の例示記載は懲戒処分の前提条件であり、就業規則に記載ない処分は無効となります。また、記載だけで処分するものでなく、②~⑥までの判断基準に照らして処分が有効なものとなると考えられています。

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2007年2月 1日 (木)

不利益変更の合理性

【質問】就業規則の不利益変更ができるか

【回答】労働条件の多くは就業規則で定められています。就業規則の作成や変更の権限は会社にあります。会社が一旦定めた就業規則を従業員に不利益に変更することができる否かが「就業規則の不利益変更」の問題です。判例では「合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者の被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性と内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の従業員の対応、同種事項に関するわが国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」としています。ただし、実際に裁判になった場合、裁判所がどう判断するかの予測は容易ではありません。

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2007年1月30日 (火)

遅刻時間と残業時間の相殺

【質問】遅刻した者が終業時刻にした残業も割増賃金が必要か

【回答】遅刻した者が所定の終業時刻を過ぎて労働した場合、法定労働時間(休憩時間を除いて週40時間、1日8時間)を超えない限り、必ずしも割増賃金を支払う必要はありません。つまり、遅刻時間と残業時間を相殺することができます。早退や私用外出の時間についても、就業規則等で実労働時間から控除する旨の定めがある場合には、同様に残業時間と相殺することができます。ただし、相殺した後にも所定労働時間を超える時間がある場合には通常の賃金を、また法定労働時間を超える時間については割増賃金を支払わなければなりません。

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2007年1月29日 (月)

退職者の賞与

【質問】支給日前に退職した社員に賞与を支払わなくてもよいか

【回答】結論から先に述べますと、退職者への賞与の支払義務は、就業規則や給与規定の規定によって左右される。つまり、給与規定に支給日に在籍していることが要件とする規定では、退職者には賞与は支払われません。賞与の支給対象期間や支給日等は会社が自由に設定でき、「賞与は支給日に在籍している者のみ支給する」と記載している会社が一般的です。これは、賞与が賃金の一部とみなさず、あくまでも褒賞とみなす賞与褒賞説が一般的だからです。いずれにしても、トラブル回避のためにも中途退職者に対する賞与の支払いに関する規定をきちんと就業規則や給与規定で明記することが肝要です。

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2007年1月26日 (金)

賃金の口座振込み要件

【質問】給与振込先を会社の指定する銀行にできるか

【回答】昭和62年の労働基準法改正により、下記の要件を満たした場合に賃金の口座振込みが認められるようになりました。

①本人の同意(形式は問わない)に基づくこと

②本人名義の口座であること

③賃金支払日の午前10時ごろまでに払出しが可能であること

したがって、会社が金融機関を指定しても本人が同意しなければ違法になります。また、社員から妻名義の口座への振込みを希望しても応じることはできません。

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2007年1月25日 (木)

通勤手当の現物支給

【質問】通勤手当を会社が購入した定期券で支払ってよいか

【回答】一般に通勤手当は自宅から会社までの通勤に要する費用(公共交通期間の運賃や距離に換算されるガソリン代)を支給するものですが、これは労働の提供をよりよくするために支給される間接的な賃金です。賃金であれば労基法24条の賃金支払い4原則が適用され通貨以外の現物は、価格が不明瞭で換金するのも不便なことから、現物給付を禁止しています。ただし、労働協約の定めがある場合は、現物で支払うことが認められています。支給条件が定められている通勤手当も賃金ですので、定期券で支払う場合は労働協約が必要になります。なお、労働協約の定めにより通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける社員に限られます。

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2007年1月22日 (月)

管理監督者の範囲

【質問】課長に時間外労働の割増賃金を支払わなくてもよいか

【回答】労働基準法412号では「管理監督者には残業代を支払わなくてもよい」という適用除外項目があります。しかし、同法の管理監督者は名称ではなく、実質的な職務内容及び待遇などから判断されるので、課長がこの管理監督者に該当するかは実際の職務内容や待遇に即して判断しなければなりません。

裁判例では会社が管理職としているにもかかわらず管理監督者として認められないケースが多く見られ、最終的に多大の残業代の支払いを余儀なくされた場合もあります。

この管理監者といえるための実務上の判断基準としては次の3点があげられています。

①労務管理上、経営者と一体的な立場にあり、一定の裁量的権限と責任を有していること。

②勤務時間についてある程度の自由裁量を有すること。

③賃金等の待遇面で一般労働者と比べ、優遇措置(管理職手当等)が講じられていること。

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2007年1月19日 (金)

年俸制の割増賃金

【質問】年俸制対象者に割増賃金を支払わなくて良いか

【回答】結論から言いますと、年俸制対象者でも割増賃金を支払わなければなりません。

年俸制にすれば、残業代が必要ないと誤解している事業主が多いようですが、労働基準法では、年俸制であれば、残業代を支払わなくてもいいとはされていません。年俸制であっても、一部除外(管理職、裁量労働制、事業場外みなし労働時間制等で働く人)者を除いて残業代を支払う義務には変わりありません。一般的に年俸制賃金では、残業代が毎月変動することを避けるため定額支払で支払う方法を導入しているところが多いようです。

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2007年1月18日 (木)

残業時間の端数処理

【質問】時間外労働を毎日30分単位にして割増賃金を計算してよいか

【回答】「働いた分を支払う」という給与の全額払いの原則から、30分単位で処理すること(切捨て)は違反となります。ただし、1日単位での端数処理は認められていませんが、1か月単位での端数処理は通達で下記のとおり認められています。

①1か月の残業時間を合計したとき、30分未満の端数は切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることができる。

②1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働それぞれの総額が50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円とすることができる。

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2007年1月17日 (水)

割増賃金の定額払い

【質問】割増賃金を定額で支給できるか

【回答】最近、残業手当を定額として支払う会社が増えてきています。定額(固定)残業手当という制度自体は法律に抵触していませんので、それを運営しても問題はありません。しかし、それが許されるのは、常に実際の残業代として計算した額よりも多い金額を支払っている場合です。たとえば、2万円の定額支払いをしている会社では、ある従業員の1ヶ月の残業代金が3万円ならば、1万円は別途残業手当として支払わなければなりません。

残業代金の計算を簡素化するために導入した定額残業手当制度であるにかかわらず、実際には再度計算してその差額を支払わなければなりません。極端に高い金額を設定すれば問題はありませが、あまりメリットがある制度ではありません。

なお、この定額残業手当を営業手当・職務手当という名称で支給しても、当該手当の残業代金部分と実際の残業代を計算し差額を支給しなければなりません。

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2007年1月16日 (火)

割増賃金の計算基礎

【質問】割増賃金の計算は、基本給だけで行ってはいけないか

【回答】残業代を抑えようと、基本給だけを基に割増賃金を計算している会社がありますが、これは違法です。一般的に月給制の割増賃金の計算は次の式で計算されます。

割増賃金額=((基本給+手当)/1か月の所定労働時間)×割増率×労働時間数

ただし、手当のうち下記のものは残業代の計算から除外できるとされています。

①家族手当

②通勤手当

③別居手当

④女子教育手当

⑤住宅手当

⑥臨時に支払われた賃金

1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらは実際の内容によって判断されるもので、名称をつけただけで除外できるわけではありません。また、一律に支給されるものは除外できません。

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2007年1月15日 (月)

年休の時季変更権

【質問】指定された年休日を変更できる場合はどんな時ですか

【回答】労働者が指定した年休により事業の正常な運営が妨げられる場合には、使用者に年休日を変更する権利が与えられています。これが時季変更権です。時季変更権が可能な場合とは「事業の正常な運営が妨げられる」という要件が存するときです。具体的には、その労働者の従事する業務組織(部や課・係)の運営上、その労働者が年休日に不可欠な要員であり、他に代替要員の手配が容易にできない場合です。事業の運営が妨げられるか否かは、年休を請求した労働者の所属する事業場あるいは業務組織を基準として判断するというのが判例です。この時季変更権は、労働者の年休請求権の例外事由ですから、使用者には一般に年休の確保のため、代替要員の手配等、通常可能な配慮をすべき立場にあります。したがって、常時人員不足の業務組織であることを理由に、いつでも時季変更権の行使が許されるわけではありません。

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2007年1月11日 (木)

パートタイマーの年休

【質問】パートタイマーにも年休を与えなければならないか

【回答】パートタイマーやアルバイトであっても、6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤している場合は、その所定労働日数に応じた日数の年次有給休暇を付与しなければなりません。ただし、労働基準法では、1週間の労働時間が30時間未満の労働者に対しては、通常の従業員との均衡を図るため、その所定労働日に比例した日数の年次有給休暇を付与することとしています。なお、比例付与の対象者は次の通りとされています。

①週により所定労働日数が定められている労働者

 週所定労働日数が4日以下の者(ただし、週所定労働時間が30時間以上の者を除く)

②週以外の期間によって週所定労働日数が定められている労働者

 年間所定労働日数が216日以下の者(ただし、週所定労働時間が30時間以上の者を除く)

①または②に該当しない労働者は、通常の年付与日数となります。

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2007年1月10日 (水)

退職時の年休消化

【質問】退職時に残った年休をすべて消化したいと言ってきたが

【回答】労働者が年次有給休暇を請求してきた場合、会社側は時季変更権を行使しない限り、これを拒否できません。したがって、退職間際であっても年次有給休暇の残日数の取得を一括請求してきた場合にはこれに応じなければなりません。年次有給休暇は、労働基準法によって、「6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤」した場合には、所定の日数を与えなければならないものとされていますので、退職予定者であっても、退職するまでの間は、労働関係が継続している限り、労働者はそれを行使する権利がありますし、会社側にはそれを付与する義務があります。ただし、退職届と同時に年休の請求など業務引継ぎがないため会社業務に支障が生じる場合には、話し合いで退職日を繰り下げるか、退職後、何らかの方法で引継ぎを要求することは可能です。

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2007年1月 5日 (金)

年休の利用目的

【質問】年休の使用目的によって拒否することができるか

【回答】年次有給休暇は、法定の要件を充たした場合、法律上当然に労働者に生じる権利であって、労働者の請求をまってはじめて生じるものではなく、また、年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由です。労働者は会社に対して利用目的を申し出る必要はなく、会社もスト目的の場合を除いて利用目的いかんでその取得を左右することはできません。ただし、年休届に利用目的欄を設け、任意記載を求めることはできます。これは、一時的に多数の労働者から同一時季を希望する年休届けが出される場合など、その利用目的の重大性・緊急性の程度によって時季変更行使の対象者を定めることは合理性と必要性があるとしている判例もあります。いずれにしても、労働者に記載を強要するのではなく、自発的に利用目的を記載してもらうようにすべきです。

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2006年12月28日 (木)

当日の年休請求

【質問】当日の朝に請求のあった年休を拒否できるか

【回答】年次有給休暇の取得は、労働者の意思表示のみによって使用者に対する労働義務の免除という法的な効果を発生し、何ら使用者の承認といったような行動を必要としないとされています。

しかしながら、当該質問のように当日になって年休をとりたいと通知されたような場合には、問題があります。法定年休というのは原則として「1労働日」(午前0時から午後12時まで)単位に付与されるものであるから、当日朝に通知しても、事後の年休請求となります。これをどう取り扱うかは、事後振替を会社が認めるか否かによってちがいます。一般的にわが国では事後取得も認めている企業が多いようです。どちらにしても、これは本来労働基準法上労働者に権利として認められている取得方法ではないので、それには承認を要し、承認は使用者の裁量にゆだねられています。

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2006年12月21日 (木)

変形労働時間制の時間外労働

【質問】変形労働時間制の時間外労働の計算方法はどうするか

【回答】変形労働時間制は、変形期間を平均して週法定労働時間以内であれば、各日・各週の所定労働時間は時間外労働となりません。一般的に変形労働時間制を運営するためらは予めシフト勤務表を作成して管理しますが、予定したシフトを超過した労働時間がある場合には、割増賃金を計算しなければなりません。変形労働時間の時間外労働は各日・各週および変形期間を各単位として次のように計算します。

①1日ごとに計算

 シフト勤務表で決めた時間を超えは場合に時間外労働となります。定めた時間が8時間未満の場合は8時間を超えた時間。

②1週間ごとに計算

 シフト勤務表で決めた時間を超えた時間(①を除く)。定めた時間が40時間未満の場合は40時間を超えた時間が時間外労働となります。

③変形期間で計算

 法定労働時間(週法定労働時間(40hr)×変形期間の暦日/7日)を超える時間が時間外労働となる。(①・②を除く)暦日30=171時間、暦日31日=177時間となります。

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2006年12月20日 (水)

時間外労働の限度基準

【質問】時間外労働は何時間でも命ぜられるか

【回答】使用者は労働者を1日8時間、1週40時間を超えて時間外労働させるためには、「時間外労働・休日労働に関する協定」の労使協定(36協定)を締結するとともに、これを労働基準監督署へ届け出ることが義務づけられています。この労使協定書には「延長することができる時間」を記入する欄があり、この「延長できる時間」には限度時間が定められています。一般労働者の場合は、1週15時間、1ヶ月45時間、1年360時間など「期間の区分」に応じて限度基準が決められています(実際には7区分です)。この限度基準は、労働基準の強制的な義務ではありませんが、労働基準監督署長による助言・指導とあいまって労使当事者が遵守すべき事項になっています。

なお、突発的な業務が入ってきて、時間外労働が労使協定の限度時間を超えそうなときは、さらに時間延長の労使協定「特別条項付き協定」を結び届け出します。ただし、この協定は臨時的なものに限られます。また、延長できる回数を協定するなど、要件が厳しくなります。現実的には労働基準監督署の助言・指導があり、難しいとされています。

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2006年12月19日 (火)

出張時の移動時間

【質問】出張のための移動時間は労働時間に含めなければならないか

【回答】一般に出張時の労働時間については、「労働時間を算定し難い」ものとして、所定労働時間したものとみなすとする企業が多く見られます。移動時間が労働時間か否かについては

(1)労働時間説

(2)通勤時間説

(3)出張時間(みなし時間)説

(4)休憩時間説

(5)拘束時間説

など様々な見解があります。原則として出張に伴う移動時間は「通勤の延長」ないし「拘束時間中の自由時間」であるに過ぎず、労基法上の労働時間ではないと解釈されています。裁判例においても「出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常の出勤に費やす時間と同一であると考えるから、右所要時間は労働時間に算入されず、したがってまた時間外労働の問題は起こりえない」としたものもあります。さらに、行政解釈でも「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として扱わなくても差し支えない。」としています。

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2006年12月18日 (月)

遅刻時間の相殺

【質問】遅刻した社員にその分を定時以降に労働させても良いか

【回答】

遅刻した者が所定の終業時刻を過ぎて労働した場合でも、就業規則等で「終業時刻後に労働した場合には時間外労働として扱い、割増賃金を支払う」などの規定がある場合を除いて、法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超えない限り、割増賃金を支払う必要はありません。従って、遅刻分を残業時間で相殺することは可能です。ただし、法定労働時間を超える場合や深夜に及ぶ場合は割増賃金を払わなければなりません。

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2006年12月15日 (金)

お昼休みの電話・来客受付

【質問】お昼休みに来客・電話の受付をさせたとき労働時間となるか?

【回答】

会社が実質的に当番制の指示命令をしていれば、それは勤務時間でその分給与を支払わなければなりません。また、別の時間帯に休憩を取らせる必要があります。なお、この一斉休憩を除外するためには社員代表との協定が必要になります。しかし、中小企業では昼休み時間もビジネスチャンスです。また、お客様の立場からサービスをきらすことはできません。一般的には「昼食を兼ねて電話の当番をするくらい、ついでにできます」という自発的意思に依拠することになります。そんな社風(雰囲気)を作ることが一番大切です。

 なお、運送業、販売・賃貸・理容業、金融広告業、映画演劇業、電気通信業、保険衛生業、接客娯楽業等の業種は一斉休憩の適用除外があります。

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2006年12月14日 (木)

始業前の清掃

【質問】始業前に清掃をさせているが、これは労働時間となるのか?

【回答】

一般的に労働時間に含まれるかどうかの判断の基準は次のとおりです。

     使用者の指示、命令があるかどうか

     当該作業を行うために必然的なもの、または通常必要とされるものであるかどうか

     法令で義務づけられているかどうか

始業前の清掃が、実施の拘束があり事実上の強制を伴う責任当番制で行わせたり、使用者がその強制的実施の事実を知りながら容認している場合は、黙示の業務命令があったとされ労働時間とされます。ただし、責任当番制などにせず自由任意に行う自発的な場合は労働時間にはならないとされています。この清掃行為が本人の自由任意が担保されている自発的なものなのか、事実上の強制(黙示的指示による拘束労働)かが判断のポイントであり、自発的なものは労働時間とはならない。

自分達の職場を気持ち良い環境にするため、各人が積極的で自主的に清掃することが一番です。そんな雰囲気づくりが求められます。

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